マーケティング業界で徐々に浸透してきているチャットボット。デジタルマーケティング施策の1つとして検討をされたことがある企業も増えてきているのではないでしょうか。一方でチャットボットを検討し、導入してもなかなか成果が得られないといったお悩みも持たれている企業もいらっしゃることでしょう。
その要因の1つとして、「ユーザーに合わせた会話設計が行えていない」という点があげられます。
今回はチャットボットの効果を上げるために必要な、ユーザーに合わせた会話設計の手法をご紹介します。
“チャットボットの利用用途”
チャットボットの利用用途は、大きく分けると2つに分類することができます。
1.カスタマーサポート用途
2.マーケティング用途
チャットボットが提供され始めた頃、その用途はカスタマーサポートとしての利用が一般的でした。しかし、最近ではマーケティング施策として活用するケースも増えてきています。
1.カスタマーサポート用途
FAQページやヘルプページを用意してあるのにも関わらず、同じような質問がきてしまい、カスタマーサポート業務を圧迫している、といった課題に対し、チャットボットは大きな成果を発揮することができます。
また、属人的な対応を防ぐと同時に、均一な顧客対応によってエンゲージメント向上にも寄与します。365日24時間対応できるスタッフがWebサイトやアプリに常駐していると言えるでしょう。
引用元:https://synal.io/lab/chatbot_190628/
2.マーケティング用途
ユーザーが満足できる情報、コンテンツを渡そうと、増やせば増やすほどWeb サイトの階層は深くなります。
必要な情報を見つけることができないと判断し、離脱してしまうユーザーに対し、チャットボットでナビゲーションをすることで直帰や離脱を防ぐことができます。
また、ユーザーに対しヒアリングから得た最適なコンテンツを提供することでCVRの向上が可能になります。
引用元:https://synal.io/lab/chatbot_190628/
“コンバージョンに至るまでのカスタマージャーニーの把握と課題”
チャットボットをマーケティング用途として利用する場合、顧客育成を行うためユーザーのフェーズ毎に会話の内容を出しわける必要があると言えるでしょう。会話の内容はカスタマージャーニーマップを作成し、どのフェーズのユーザーに対してチャットボットでどのような接客をしていくのかを考えます。
・カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーとは、ユーザーが製品やサービスを認知してから購買に至るプロセスです。また、ユーザーの行動や心理を時系列で可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と言います。
カスタマージャーニーマップが正確であるほど、実際のユーザーの購買行動に沿ったマーケティング施策を打つことができるようになります。
引用元:https://liskul.com/customer・journey・1697
・カスタマージャーニーマップの例
上図は、一般向け乗用車を販売している架空の会社のカスタマージャーニーマップです。この図では、「来店申し込み」をコンバージョンとしており、認知・関心からコンバージョンまでのプロセスを表記しました。
このようにフェーズ毎でユーザー心理が異なり、求める情報が変化します。Webサイト内でユーザーの直帰、離脱や回遊率の低下が起こっている場合、ユーザー心理に適したコンテンツ提供や施策が打てていない可能性があります。ユーザー心理毎にアクションを変える考え方は、Webサイトだけでなくチャットボットを効果的に活用するためにも必要になります。
“マーケティング用途として利用する際の効果とは?”
チャットボットをマーケティング用途として利用する場合、期待できる効果は以下の3つと言えるでしょう。
・直帰率、離脱率の低下
・回遊率の向上
・コンバージョン率の向上
上記の効果を得るためには先述した通り、カスタマージャーニーに対してフェーズ毎に適切なアプローチをする必要があります。
それでは、「チャットボットで効果を上げる方法」を3ステップでご紹介します。
1.サイトに訪問しているユーザーデータを取得する
まずはじめに、サイト訪問者のユーザー心理を理解するために、「ユーザーデータ」を収集する必要があります。
私たちが必要だと考えているユーザーデータは、サイト内での閲覧履歴に基づいて取得可能な「行動データ」と、チャットボットで話しかけを行い、ヒアリングをすることによって取得可能な「会話データ」の2つになります。
・行動データ:サイト内での閲覧履歴に基づいて取得できるデータ
例: 流入チャネル、訪問回数、閲覧ページ等
・会話データ:チャットボットの会話で取得できるユーザーの状況データ
例: 購入目的、予算、現在の状況等
上記2つのデータを取得し、ユーザー心理を可視化していきます。
2.1.で取得したユーザーデータを分析する
次に、取得したユーザーデータをもとに一人ひとりのユーザーがカスタマージャーニーマップ上でどのフェーズにいるのかをセグメント分けしていきます。
3.2.で分析したユーザーデータを活用する
最後に、カスタマージャーニーマップ上でセグメント分けを行なったユーザーグループに対して、次のフェーズへ育成させるためのアクションを設定していきます。
・「情報収集」グループに対してのアクション設定
より多くのコンテンツを閲覧してもらうために、回遊を促す会話をチャットボットで提示します。
例:「今月人気のコンテンツはこちら」、「あなたにあったコンテンツを診断!」等
・「興味がある」グループに対してのアクション設定
ユーザーの検討度をチャットボットでヒアリングします。
例:「何月ごろに検討していますか?」、「どのような資料が必要ですか?」、「どういった課題を解決したいですか?」等
以上がチャットボットで効果を上げるための3ステップになります。全てのユーザーに対して、同じ内容の会話を行うのではなく、カスタマージャーニーのフェーズに合わせて異なる会話を提示することで、3つの効果(直帰率、離脱率の低下、回遊率の向上、コンバージョン率の向上)を得ることができるでしょう。
“SYNALIOを活用した事例のご紹介”
弊社が提供するSYNALIO(シナリオ)は、チャットボットの中でもマーケティングに特化しています。
チャットボットによるヒアリング内容=「会話データ」と、サイト内の閲覧履歴=「行動データ」を取得・分析し、グルーピングが可能です。このセグメント分けを行なったグループに対して、最適なポップアップや会話シナリオを表示し、1to1マーケティングを実現します。
こちらでは、SYNALIOを活用した事例をご紹介します。
・IKEUCHI ORGANIC 株式会社 様
IKEUCHI ORGANIC株式会社様は、今治タオルの1社で、オーガニックテキスタイルの製造と販売を行っています。
ECサイトの構造が複雑で、ユーザーが求めている情報にたどり着けない課題があり、SYNALIOをご導入していただきました。IKEUCHI ORGANICのサイトでは、SYNALIOの会話内容をTOPページと商品ページで出し分けを行っています。
TOPページでは「大きさから選ぶ」「用途から選ぶ」といった項目や「おすすめタオル診断」など、タオル選びをお手伝いするナビゲーションとしての活用をされています。
一方、商品ページでは刺繍サービスの利用方法や在庫切れの商品に対するフォローなど、購入サポートを目的として活用されています。
このように、TOPページと商品ページではユーザーの求めている情報が異なるため、ユーザーに合わせた会話の設計を行う必要があると言えるでしょう。この施策を行うことにより、回遊率の向上や離脱の防止、コンバージョン率の向上の効果が見込めます。
【事例記事】https://synal.io/interview/ikeuchi/
“まとめ”
チャットボットをマーケティング用途として利用する場合、カスタマージャーニーマップを作成し、フェーズ毎のユーザー心理に合わせた会話の設計が重要になると言えるでしょう。
ユーザーデータの「1.取得、2.分析、3.活用」の3ステップを踏むことで、チャットボットを効果的に活用することができるようになると私たちは考えています。
SYNALIOを活用した事例については、下記の記事をご覧ください。
【事例記事】
・株式会社シュガーレディ本社 様
トップページからの離脱率が10%以上改善!充実したサポートによる改善策でさらに効果がアップ
https://synal.io/interview/sugarlady/
・freee株式会社 様
ユーザーニーズに応える会話設計でナーチャリング。成功事例をもとに全社への水平展開もスタート
https://synal.io/interview/freee/