マーケティング担当者の方であれば、自社サービスの「ペルソナ」を作成したり、ペルソナに合わせて施策を実施する場面があるでしょう。実はチャットボットの会話を作成する上でも、ペルソナを設定することは大切になります。今回は、チャットボット施策を成功に導くために非常に重要な役割があるペルソナについてご紹介いたします。
“「ペルソナ」と「ターゲット」の違いとは”
まずは「ペルソナ」の正しい言葉の意味はご理解しているでしょうか。よくあるのが、「ペルソナ」と「ターゲット」の意味が混同してしまうケースです。まずは、ペルソナとターゲットの違いについてご説明します。
・ペルソナ
マーケティング業界では、ペルソナは架空の人物を設定した顧客プロファイルのことで、製品やサービスに対する理想の顧客をあらわします。
引用元:https://wakarukoto.com/?p=16266#i
上記のように定義されることが一般的です。つまり、実際に存在はしませんが、自社の商品を利用をする最も理想的な架空の顧客像になります。
<具体例>
・名前:山田太郎
・性別:男性
・年齢:34歳
・年収:600万円
・埼玉県在住、都内の会社に勤務をしており、妻と4歳の娘と共に暮らしている。
・お酒を飲む事が趣味で、週1日は会社の同僚とお酒を飲みに行っている。
このように「ペルソナ」は、実際に名前を付けたり、より細かい部分までの設定を決めて具体的な人物イメージを作ります。
・ターゲット
「製品・サービスの販売活動で狙った層」として使われます。
引用元:https://webtasu.com/archives/2682
つまり、狙いたい顧客層を特定のセグメントで切り分けをしたものになります。こちらの具体例は下記を参照してください。
<具体例>
・年齢:30代
・性別:男性
・職業:会社員
このように「ターゲット」はペルソナよりも抽象度が高くなります。
では、理想の顧客である「ペルソナ」がなぜ今、重要視されているのかを紐解いていきます。
“ペルソナの重要性”
ペルソナの重要性が増してきた1つに、顧客のニーズの多様化が挙げられます。
スマートフォンひとつで好きな時に情報の取得が可能になった事で、従来の幅広くセグメントを切ったターゲット選定だけでは、顧客の心を掴むマーケティング施策が難しくなりました。多様化するニーズに対応するため理想の顧客である「ペルソナ」を設計し、対応策を行う必要がでてきたのです。
そのため、ペルソナ設計を行う1番のメリットは「ペルソナ」に対して共感を得るためのマーケティング施策の構築が挙げられます。
こうすることで、より顧客の心を掴むマーケティング活動が可能になります。ペルソナを設計することで、「ペルソナの〇〇さんなら、恐らくこういった商品が適している」、「ペルソナの〇〇さんには、この価格帯よりこちらの価格帯が合っている」など担当者同士の意思疎通を、チーム内で決定した「ペルソナ」を軸に図れるようになります。チームでその人の趣味嗜好や、ライフスタイルをもとに「ペルソナ」に合ったマーケティング施策が可能になるでしょう。
つまり、ペルソナ設計をすることでチーム内の理想の顧客に対するイメージのすり合わせを行い、理想の顧客に最も適しているであろうマーケティング施策を顧客目線で考えられるようになるのです。
“チャットボット作成におけるペルソナの重要性”
実はチャットボット作成をする上で「ペルソナ」を意識するのは非常に大切になります。ペルソナ設計が重要な理由は、大きく分けると以下の2つがあります。
1.チャットボット接触率の向上
チャットボットで陥りがちな失敗として、導入したもののあまりチャットボットに利用されなかったということがあります。もちろん、利用されなかった理由は様々ですが、よくある失敗例として「誰向けなのか?を決めていなかったこと」があります。チャットボットで行う会話は、コミュニケーションの一貫であるため、誰とどのようなコミュニケーションを取りたいのか?を考えることが非常に重要になります。
「ペルソナ」を決めて、その人が利用するチャットボットなら会話の中身はどんな内容にするのか、接触してもらうためにはどんな話しかけの文言にするのかを決めるだけで利用率が5%以上変わったというケースもあります。
2.ストーリー性
もう1つ、チャットボットにペルソナ設計が必要な理由に「ストーリー性」が挙げられます。これは設定した「ペルソナ」がどんなシチュエーションで困り、お問い合わせをするのか、もしくはどんなシチュエーションで購入に至らずサイトから購入をせず離脱しているのかを考える必要があります。
例えば、珈琲のオンラインストアに設定した「ペルソナA」が、雑誌に載っていた珈琲特集を見て、検索をしてサイトに流入したとします。「ペルソナA」は珈琲を週に何回か飲み、珈琲に興味がある人です。ただ、詳しい珈琲豆の内容までは知っている訳ではないため、全て黒い色をした珈琲の違いが分かりません。
このシチュエーションで取るべきコミュニケーションは「ペルソナA」にヒアリングを行い、このAさんに合った珈琲の提案です。
自社のサイトに流入してくるユーザーに最適なコミュニケーションを行うには、上記のようにペルソナを設計して、なぜサイトに流入し、どのようなコミュニケーションを取れば共感を得られるのかを考えることが大切になります。
“まとめ”
今回はニーズの多様化が進む現代で「ペルソナ」という切り口で相手に適したアプローチを考えることの重要性についてご紹介いたしました。チャットボットはサイトに訪れたユーザーとのコミュニケーションを行うツールになります。「ペルソナ」を設計した上で最適なコミュニケーションの仕組みを構築することが重要と言えるでしょう。