日々の買い物からインターネットのアクセス状況に至るまで、人間のあらゆる行動がデータで把握・分析される時代になりました。
製品・サービスを提供する側としては、消費者の行動データを分析することで、ユーザーにより良い体験を届けることができます。マーケティングにおいては、データ分析をより戦略的に行うために「データドリブンマーケティング」という手法が確立されました。
今回は、データドリブンマーケティングの基本を紹介するとともに、事例や実践における流れについてもご紹介いたします。
“データドリブンとは?”
データドリブン(Data Driven)はデータ駆動ともいい、もともと計算機科学における計算モデルの1つでした。ある計算結果(データ)が次の計算のもとになり、一連の計算が実行される仕組みを指しますが、現在「データドリブン経営」、「データドリブンマーケティング」といった使い方をする際は、「データに基づいて意思決定を行う」という意味を持ちます。
・データドリブンマーケティング
データに基づいてマーケティング施策を行う手法をデータドリブンマーケティングとよびます。マーケティングにおいて従来は、ターゲット層を「M1、F1…」や「潜在層、顕在層…」と一定の基準で区分し、それぞれの層ごとに施策を展開する方法が採用されてきましたが、現代の消費者の価値観はモバイルファーストにより多様化を極め、こうした手法による効果は薄れてしまいました。
データを活用することで、営業部門へ渡す見込み案件の創出や、発掘活動を行うデマンドジェネレーションや、自社にとって好ましい見込み顧客のみを選別・育成するアカウント・ベースト・マーケティング(ABM)といったマーケティング手法の精度を高めることが可能になります。
引用元:https://www.synergy-marketing.co.jp/glossary/demand-generation/
“データドリブンマーケティングの全体像”
データドリブンマーケティングの流れは、「データ収集→データの可視化→データ分析→アクションプラン策定」となります。
・データ収集
まずは顧客のインサイトを示唆するデータを集めることからスタートします。
マーケティングに活用できるデータの種類には、Webサイトのアクセスログや顧客情報などさまざまなものがありますが、自社がマーケティングやセールスに抱える課題を洗い出して優先順位をつけ、課題解決につながると考えられるデータを選択しましょう。
・データ可視化
データを集めた後は、それを理解・分析するためにデータの整理や分類、わかりやすい状態に加工、可視化する必要があります。データの専門知識を持つデータアナリストが担当することが基本となりますが、最近では、特別な知識がなくても可視化できるダッシュボードツールや目的に応じた加工ができるBIツールもあります。Excelにもデータ分析機能がついているので、それを使用して分析することも可能です。
・データ分析
可視化したデータから読み取れることを整理し、データが示す結論を導き出します。BIツールを活用して分析を行っても良いですし、自社に蓄積している独自のノウハウを活かしてデータに意味付けを行うのも良いでしょう。最初のステップ「データ収集」を行う際に設定した課題の解決につなげることを念頭に、分析目的がブレないように注意しましょう。
・アクションプラン策定
データ分析結果から、具体的に課題解決のためのアクションプランを策定し、KPIを設定します。さらに、策定したプランに実際に取り組み、結果を評価して新たな課題を抽出し、PDCAサイクルをつくることが重要です。
上記の流れをスムーズに回せるような体制づくりがデータドリブンマーケティング成功の1つのポイントとなります。
“データドリブンマーケティングのメリット・デメリット”
データドリブンマーケティングに取り組むにあたり、メリット・デメリットを把握しておくことが大切です。メリットを最大限に活かし、デメリットを抑えられるように運用していきましょう。
・データドリブンマーケティングのメリット
データドリブンマーケティングのメリットは、客観的なデータに基づいて施策を立てられるため、施策の方向性が大きく間違う可能性が低い点です。
一方、多くのマーケティング施策はマーケターの仮説に基づいて立てられ、施策を実行・検証して初めて仮説の正しさ(もしくは誤り)が明らかになります。
また、経営層などへの情報共有や説得も、可視化したデータを用いることで行いやすくなります。
・データドリブンマーケティングのデメリット
データドリブンマーケティングのデメリットは、データの専門家ではないマーケターにとって前章でご紹介したプロセス1つひとつのハードルがやや高いことです。業務フローとして確立するのに労力を要することになるでしょう。
工数を少しでも減らすために、データのハンドリングが楽になるようなツールを導入し、自動化できる部分はツールに任せて手を空けることをおすすめします。
“データドリブンマーケティングを支援するツール”
ここまでで、データドリブンマーケティングがどういったものかや、メリットやデメリットを知っていただけたと思います。
ここでは、このデータドリブンマーケティングに活用できるツールをご紹介します。
・マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)とは、顧客開拓においてマーケティング活動を効率化・自動化してくれるツールです。具体的には、見込み顧客の行動を把握して適切なタイミングで必要な施策を実行することや、一定条件で見込み顧客を抽出するといったことを設定に基づいて実行してくれます。
マーケティングオートメーション(MA)が扱う主なデータは下記です。
・見込み顧客情報(企業名・部署名・担当者名など)
・見込み顧客ごとの施策実施状況
・行動履歴(問い合わせ、セミナー参加、デモ依頼など)
・Webサイトのアクセスログ
・Web広告の閲覧状況
・メール開封率 など
・DMP(データマネジメントプラットフォーム)
DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、個人を特定しないかたちでユーザーの性別や年齢、趣味といったデータを収集・管理・活用するためのツールです。DSP広告出稿などに活用されています。
DMP(データマネジメントプラットフォーム)が扱う主なデータは下記です。
・ユーザー属性情報
・Webサイトのアクセスログ
・Web広告の閲覧状況
・購入履歴
・ポイント利用履歴
・SNS上の投稿 など
・SFA(セールスフォースオートメーション)
SFA(セールスフォースオートメーション)とは営業支援システムのことで、営業部門が業務を可視化・効率化できるツールです。主に受注、納品するまでの見込み顧客情報と案件を管理します。
SFA(セールスフォースオートメーション)が扱う主なデータは下記です。
・見込み顧客情報(企業名・部署名・担当者名など)
・自社の営業担当者情報(担当案件、受注率など)
・見込み顧客ごとの営業進捗状況
・訪問スケジュール
・日報 など
・Web解析ツール
Web解析ツールはアクセス解析ツールともよばれ、Webサイトを訪問したユーザーの行動を把握・分析するためのツールです。主にWebサイトの改善に活用されます。
Web解析ツールが扱う主なデータは下記です。
・ページビュー数
・ユニークユーザー数
・セッション数
・インプレッション数
・コンバージョン数/率
・直帰率
・離脱率 など
・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は顧客関係管理ともよばれ、受注した後の顧客との関係維持のために活用するツールです。初回受注後もリピート、アップセル、クロスセルといった更なる取引や顧客満足度向上を目指すために使用されます。
CRMが扱う主なデータは下記です。
・顧客情報
・購入履歴
・サポート履歴
・クレーム履歴
・ポイント利用履歴/率
・キャンペーン情報 など
・チャットボット
チャットボットとは、Web接客ツールの1つで、テキスト情報や音声でユーザーと対話できるように作られたプログラムです。カスタマーサポートやコンサルティング、エンゲージメントなどに活用されており、人工無脳タイプと人工知能(AI)タイプがあります。
チャットボットが扱う主なデータは下記です。
・会話ログ
・Webサイトのアクセスログ
・コンバージョン数/率 など
“まとめ”
顧客の多様化する価値観に合わせたマーケティング施策を打つためには、顧客のニーズをつかむことがポイントとなるでしょう。
真の顧客ニーズをつかむためには、マーケティングをはじめ、セールスからカスタマーサクセスまでのすべての過程において「顧客体験」が重視されています。顧客の感動体験を追求するためにデジタルデータを活用することが今後必要になっていくと私たちは考えています。
膨大なデジタルデータをハンドリングし、可視化、活用につなげる手段としてデジタルツールが最適です。
弊社のチャットボット型マーケティングツール「SYNALIO」は、会話データと行動データを活用したデータドリブンマーケティングが可能です。ご興味ありましたら、お気軽にご相談ください。