企業のマーケティング活動を自動化し、より効率良く行うために使用されるマーケティングオートメーション(MA)。最近では導入されている企業も増えてきていますが、「聞いたことはあるけど、何ができるかイマイチ分からない」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、「マーケティングオートメーション(MA)とは何か」や「マーケティングオートメーション(MA)でできること」等、基本的な内容について解説をしていきます。
目次
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーション(MA)でできること
マーケティングオートメーション(MA)でできないこと
代表的なマーケティングオートメーションMAツール3選
まとめ
“マーケティングオートメーション(MA)とは?”
マーケティングオートメーション(MA)とは、獲得した見込み顧客の情報を管理し、マーケティングプロセスを自動化するツールです。日本では、海外ベンダーが参入してきた2014年から徐々にマーケティング市場で浸透をしてきています。それではなぜ、「マーケティングオートメーション(MA)」が必要とされているのでしょうか。
・マーケティングオートメーション(MA)が必要とされる背景
以前までの消費者は、4マスと言われる「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」がメインの情報源であり、情報量も限りのあるものでした。しかし、インターネットの普及により、個人が多種多様な流入経路から大量の情報にアクセスできるようになりました。これにより、消費者の情報収集の方法が受け身から能動的な行動に変わり、大量の情報の中から自分の求めている情報を選ぶようになりました。一方で、企業側も多くの情報の中から自社が発信する情報を消費者に選んでもらうために、一人ひとりに対して適切なコンテンツを適切なタイミングや、流入経路で提供する必要がでてきました。そのために、人力では煩雑で工数がかかる「一人ひとりに合わせた情報提供」を自動化する「マーケティングオートメーション(MA)」が必要とされるようになりました。
・マーケティングプロセスとは
マーケティングプロセスは大きく3段階に分けることができます。
①リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、自社の商品やサービスに興味を持った見込み顧客をオフラインやオンラインで獲得することです。例えば、展示会での名刺交換や、広告、SEOなどがあります。
②リードナーチャリング
リードナーチャリングとはリードジェネレーションで獲得した見込み顧客に対して、メールや電話などで購買意欲を高めていく手法です。オンラインでは、メールマガジンがその手法の1つです。ユーザーの検討度に合ったホワイトペーパーや導入事例記事の配信をすることで顧客育成を行うことができます。オフラインでは、ハンズオンなどの商品やサービスの検討度が高いユーザーにさらに自社導入イメージを高めるクローズ型のセミナーが挙げられます。
③リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、見込み顧客のうち受注できるホットリードとなる顧客を選別することです。これにより、検討度が高い見込み顧客に効率良く営業活動を行うことが可能になります。
マーケティングプロセスについては、下記記事の“デマンドジェネレーションの全体像”で詳細をご覧いただけます。
▼「顧客育成の重要性とは?リードナーチャリングという概念が浸透してきた理由」
https://synal.io/lab/reednurturing190830/
マーケティングオートメーション(MA)は、各ベンダーが提供するツールにより機能の差異はありますが、大半が上記3つのフェーズを自動化することが可能です。
“マーケティングオートメーション(MA)でできること”
マーケティングオートメーション(MA)の代表的な機能について、マーケティングプロセス別に紹介します。
①リードジェネレーション機能
・フォーム作成
資料請求やお問い合わせなど、Web上でサイト訪問者に記載して欲しい内容のフォームを作成することができます。
・Webページ作成
LPなど簡易的なWebページを作成することができます。
②リードナーチャリング機能
・見込み顧客の管理
見込み顧客のWebサイト上での行動履歴やオフラインイベントの行動、属性情報などを保存することができます。
・メールマーケティング
見込み顧客のアクションや状態に合わせて事前に設定したシナリオに沿って、メール配信を行うことができます。
③リードクオリフィケーション機能
・スコアリング
見込み顧客の管理機能により、保存した情報をもとに検討度合いを数値化することができます。
“マーケティングオートメーション(MA)でできないこと”
マーケティングオートメーション(MA)は何も運用しなくても自動化できる便利なツールだと思われてしまうことがあります。しかし、あくまでもツールなので正しい使い方や運用をしなければ効果を出すことができません。ここでは誤解されやすい内容について解説をしていきます。
・マーケティングオートメーション(MA)がマーケティングを代わりに行う
マーケティングオートメーション(MA)は、人の代わりにキャンペーンを作成して施策を実行できるわけではありません。いつ、どんなアクションを実行するのか、シナリオの設計は人が行う必要があります。マーケティングオートメーション(MA)は設計されたシナリオに沿ってアクションの自動化を行います。
・一度設定をしたらアップデートをしなくてよい
マーケティングオートメーション(MA)の設定は1回で終わることはありません。見込み顧客の購買行動は時間とともに変化していきます。それに合わせたアップデートが必要になります。1回の設定で効果を最適化する的確なシナリオを設定することはほぼ不可能と言えるでしょう。施策を繰り返し、データを見ながら仮説を立てて改善をしていく必要があります。
マーケティングオートメーション(MA)は、何でも自動化できる魔法のようなツールではなく、「効果を出すためには的確なシナリオの設計」と「シナリオ作りのためのPDCAを回していく」ことが重要になります。
“代表的なマーケティングオートメーションMAツール3選”
マーケティングオートメーション(MA)の代表的なツールについて3つご紹介します。
①Pardot | 株式会社セールスフォース・ドットコム
参考URL:https://www.salesforce.com/jp/products/pardot/overview/
PardotはSFA/CRM領域で世界トップシェアを持つ株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するMAツールです。最大の特徴は、SFA/CRMとMAを提供している点で、2つのツールを連携して使用することで、見込み顧客の創出から売上げまでをシームレスに管理することが可能になります。
②BowNow | Mtame株式会社
参考URL:https://bow-now.jp/
BowNowは企業のマーケティング活動の支援を行うMtame株式会社が提供する国産のMAツールです。多機能で人的リソースが必要なMAの運用が難しい企業でも始めやすく使いこなせる
使いこなすことができない企業に対して、MA導入の敷居を下げるためにシンプルな機能と比較的安価な価格帯になっています。
③Marketo Engage | アドビ株式会社
参考URL:https://www.marketo.com/
Marketo Engageは全世界で5,000社以上の導入実績を持つMAツールです。顧客とのエンゲージメントに重きを置いて開発されたツールで多様な機能で顧客からのエンゲージメントを高めることが可能です。
“まとめ”
マーケティングオートメーション(MA)は、適切なシナリオを設計することで獲得した見込み顧客の育成から選別までを自動化することができます。しかし、導入すれば効果が出るわけではありません。適切なシナリオを作成するために、データ分析をしながら改善や適宜メンテナンスをする必要があります。顧客とのコミュニケーションの取り方が複雑化している昨今では、正しくマーケティングオートメーション(MA)を活用できている企業とそうでない企業では大きな差が生まれるのではないでしょうか。