“事業内容を含め、自己紹介をお願いいたします”
明光ネットワークジャパンは、個別指導塾の「明光義塾」を中心に「自立学習RED」、学童保育の「明光キッズ」など複数の教育事業を展開しています。私は、2018年10月に当社に入社し、コールセンターベンダーの管理や、MAツールの導入・運用、BIツールの構築、チャットボットツール導入などを主導してきました。現在は、明光義塾に興味を持っていただいた見込みのお客様を教室に誘導することを主なミッションとして、導入したツールの運用、改善を進めるとともに、コールセンターベンダーの新設や、社内コールセンターの立ち上げなどに携わっています。
“生徒が明光義塾を認知してから入塾までの流れと、その中でマーケティング部署が管掌している範囲について教えてください”
明光義塾をお客様に知ってもらうきっかけとしては、テレビCMとお客様による口コミが多いです。その他、地域の看板やチラシ、オウンドメディアや比較サイトなどからも、お問い合わせをいただいていますね。お問い合わせをいただいたお客様は、必ずしも今すぐ入塾したい方ばかりではありません。そのため、明光義塾の特徴や魅力を伝えるために、お客様に電話をして各教室へ誘導も行っています。お客様が来塾されてからは、各教室のスタッフが入塾までのご案内をしています。これらの流れで、マーケティング部署が管掌しているのは、認知から来塾までの範囲です。その中で、マーケティング部署は「見込み顧客獲得」と「顧客育成」の2つの役割に分かれています。
見込み顧客獲得のチームはWeb経由のお問い合わせ数を主なKPIとしています。一方で、顧客育成のチームは、コールセンター経由の教室の誘導数が主なKPIです。
“Web経由のお問い合わせ獲得を行うための施策について教えてください”
Web経由のお問い合わせ経路は、明光義塾のWebサイトと学習塾の比較サイトの2つです。Webサイトは「集客」と「お問い合わせ獲得」に分けて施策を実施しています。集客は、デジタル広告やオウンドメディアが中心ですね。複数の経路や媒体に対してプロモーションをしていく際に、お問い合わせのCPAを最も安くするということは、投資対効果の観点でみると一概に良いとは限りません。例えば、ポータルサイト経由よりも自社サイト経由のお客様の方が入塾率が高いため、それを踏まえた費用配分の最適化を行う必要があります。そして、自社サイトへ集客した後のお問い合わせの獲得率を高めるために、チャットボットやポップアップなどのWeb接客施策を行っています。
“チャットボットを導入する前の課題について教えてください”
課題は大きく3つありました。1つ目が、Web経由のお問い合わせ獲得率です。お客様の学年や入塾目的は多岐にわたるため、一人ひとりに合わせた情報を提供したいのですが、Webサイト上だとそれができていないと感じていました。そのため、チャットボットを導入すれば、回遊率が向上して1人当たりのページビュー数やお問い合わせ獲得率も向上するのではないかと考えました。
2つ目が、休眠顧客の掘り起こしです。明光義塾では、問い合わせ後に入塾に至らなかったお客様を休眠顧客と定義して、再びお客様が検討するタイミングを逃さないために施策を実施しています。その一環として、メール配信を行っています。
しかし、メール配信だと10パターン前後のシナリオが限界で、お客様のニーズに沿った細かな対応ができていないと感じていました。メールからWebサイトのページ遷移後に、チャットボットで接客をすることで、より踏み込んだ提案や疑問点、不安点などの解消ができると考えました。
3つ目が、Webサイト訪問者の定性分析です。Google Analyticsを使用した定量分析は行えていましたが、Webサイト訪問者の目的や悩みなどの定性分析を行えていませんでした。チャットボットを利用することで、Google Analyticsでは把握することができない定性的な情報を取得することができると考えました。
“チャットボットベンダーの中からSYNALIOをお選びいただいた理由はなんでしょうか?”
決め手は大きく3つあります。まず1つ目がチャットボット作成画面のUIが分かりやすいことです。チャットボットの会話をドラッグ&ドロップや線をつなげるだけで直感的に作成できるため、ITリテラシーがあまり高くない方にも業務を任せることができると感じました。
2つ目がチャットボットの選択肢ごとに会話の利用状況が視覚的にわかるようになっていることです。どの選択肢まで利用されていて、どこで離脱したのかが分析画面でひと目で判断できるようになっています。チャットボットの会話は作成して終わりではなく、改善をしていく必要があると考えていたので、改善箇所がすぐに把握できるのも決め手になりました。
3つ目が学習塾業界の導入実績が豊富にあることです。業界の知見に基づいて、運用の支援をしていただけるので、他塾で上手くいっている活用方法を取り入れることができると考えました。
“SYNALIOの活用方法について教えていただけますでしょうか”
トップページURL:https://www.meikogijuku.jp/
大きく「お問い合わせ獲得型」と「FAQ型」の2つに分けてチャットボットを構築しています。お問い合わせ獲得型は、TOPページに設置しています。TOPページに流入するのは、広告経由で訪問した人やTV CMなどを見てなんとなくWebサイトにたどり着いた人が多いため、能動的に情報を探している人は少ないです。したがって、TOPページのWebサイト訪問者に対しては、学年と入塾の目的をヒアリングして、料金や指導方法を提案した後に、体験教室や教室見学などのコンバージョンへ誘導します。
一方でFAQ型は、各学年別のページに設置しています。学年別のページは、より詳しい情報を知りたい人が多いです。そのため、学年ごとのよくある質問を提示し、適した回答先のページへ遷移させることで回遊を促す設計にしています。
“導入後はどのような効果を実感されていますか?”
チャットボットを経由したユーザーの10%以上がお問い合わせに繋がっています。また、チャットボットの利用者とチャットボットの非利用かつ直帰をしなかったユーザーのCVRを比較すると、チャットボットを利用したユーザーのCVRはおよそ1.5〜2倍と高い数値が表れています。
一方で、チャットボットを導入したことにより、Webサイト全体の数値が改善されたかどうかについては、新型コロナウイルスの影響により昨年対比での比較が難しいため、まだ検証ができていません。しかし、チャットボット利用者のCVRが想定以上に高かったので、少なからずプラスの影響を与えていると感じています。
また、Webサイトの定性分析では、TOPページのチャットボットで、塾選びに関するニーズを学年別に集計したことで、学年別の夏期講習に関心が高まる時期を把握できました。今まで肌感覚として持っていた仮説を、具体的なデータとして可視化することができました。
今後は、定性分析をもとにしたキャンペーン企画をすることで、より成果を上げられると確信しています。
さらに、導入してから実感したことですが、チャットボットであればWebサイトのページを改修する前に、お試しで会話を作成して仮説を検証することが容易です。学習塾業界全体として、Webサイトの情報収集段階のお客様に対して、お問い合わせ前に料金を提示することでサービスの検討から外れないように、Webサイトに料金を表示させることを避ける傾向にあります。
しかし、Webサイト訪問者からするとお問い合わせ前に料金を知りたい方も一定数いらっしゃると思います。、その点、チャットボットで料金を提示してみて、反応が良ければWebサイトのコンテンツを追加する判断ができります。
“SYNALIOの会話はどのように作成をされましたか”
全部で4種類のチャットボットの会話を作成しました。チャットボットの会話の内容については、御社の学習塾業界の導入実績が豊富にあるため、担当の方から活用事例を紹介いただいたことで、どのようなシナリオを作成すればよいのかイメージが湧きました。
一方で実際の会話作成については、チャットボットの会話の階層を深く作りこんだため分岐の数が多かったことに加えて、操作に慣れていないこともあり、始めは会話作成が大変でした。しかし、チャットボット作成画面のUIが直観的で操作が簡単なため、操作に慣れてしまえば、つまずくことなくスムーズに作成することができました。
“SYNALIOをどのように運用されていますか”
SYNALIO導入時は、顧客育成の部署に所属する私が一つ目のチャットボットの会話を全て作成しました。それ以降は、会話設計をマーケティング担当が行い、作成はアルバイトに任せて実装を行いました。チャットボット作成画面のUIが分かりやすいため、リテラシーに関わらず、会話作成を任せることができたことで、分業体制をとることができました。
現在は見込み顧客獲得チームに、SYNALIOの運用業務を引き継いでおります。具体的には、Google Analyticsを基準にしたSYNALIOの効果検証と会話の改善を行っています。運用リソースは0.3人程度の工数をかけて、毎月の運用を行っています。
“SYNALIOの使い勝手について教えて下さい”
やはり、チャットボット作成画面のUIが分かりやすいですね。ITリテラシーに関わらず、誰でも直感的に会話を作成できるのが魅力です。他には、Webサイト訪問者全体からチャットボットの利用者やCVの数が一目で確認できるダッシュボードや、チャットボットの利用状況がわかる会話分析など、必要な指標がすぐに確認できる管理画面が使いやすいです。
“今後のSYNALIOに期待していることがあれば教えてください。”
SYNALIOとCRMの連携を強化したいです。現状のコンタクトセンターが保有しているお客様の情報だけでは、休眠顧客への電話アプローチが効率的に行えていないと感じています。休眠顧客は、お問い合わせをいただいたお客様と比較して、警戒心が強く長く話せません。そのため、事前にお客様のニーズを把握したうえで、電話アプローチをすることが重要になります。
現状のシステムでも、お客様を把握するための情報として、過去にお問い合わせをいただいたフォームや電話の内容が記録されています。しかし、その情報が今のお客様の状況と必ずしも当てはまるとは限りません。
そこで、SYNALIOとCRMを連携することで、チャットボットで収集したお客様のデータを活用して、コールセンターから電話する際のトークスクリプトに反映することが可能になります。お客様のニーズに直結した提案で、教室への誘導率アップを狙いたいです。