“事業部とご担当業務について教えてください”
岡田:
CRM推進部は、お客様と企業との関係作りをミッションとする部署です。
顧客窓口に日々大量に寄せられるお問い合わせ・相談・ご意見に迅速に対応する一方で、その内容を整理してゲームの開発部署に届けることでお客様の声を反映してもらいます。
服部が属するお客様相談課は、どこまでもお客様の満足を第一に考えますが、感情的・感覚的な内容にお客様の情報(顧客属性や利用背景)を付与することで、判断材料につなげるための仕組み作りも担っております。
お客様の声や行動を一刻も早く捉えること、そしてフィルターをかけずに作り手に届けるためにITを導入しております。社内で「お客様を知るプロジェクト」を立ち上げ、お客様アンケートの実施やソーシャルリスニングなどに取り組んでおりますが、SYNALIOの導入もその中に位置付けられるものです。
“どのような体制でお客様に対応されていますか?”
岡田:
大きく分けると家庭用ゲーム、アーケードゲーム、そして会員IDのサポートと3つの部門があります。時期による繁閑の差が激しいのですが、最近のゲームは複雑なので、品質を保ったまま体制を増減させることが難しいです。
“チャットボットで解決したかった課題は何ですか?”
服部:
私が担当している会員IDのサポート窓口では、新規登録したい、ゲームにログインしたいなどのお問い合わせに対応しています。お客様にサービスをご利用いただけるかどうかに直結するので、すばやい対応が必要になります。
もともと、有人サポートの満足度は低くなかったのですが、お問い合わせに至るまでに諦めてしまうお客様も多いのではないかと考え、より簡単に、人が対応するよりも早く救済したいとの気持ちからチャットボットを検討しておりました。
登録情報の変更手続きなどをチャットボットで全て対応するには個人情報の関係もありハードルが高いのですが、「よくあるご質問」として既に用意しているQ&Aだけでも目に触れれば、その場で解決してゲームを楽しんでいただけるお客様も増えるであろうと考え、SYNALIOを採用したという経緯になります。
“SYNALIOを選ばれた理由について教えてください”
服部:
SYNALIOのことは色々と同系ツールの情報を集めている中で知りました。ギブリーさんに詳しくお話を伺う中で、お客様個々の状況にマッチした対話を差し込むことができ、有人対応に至る前に解決に導いてあげられるイメージを持てました。
また、SYNALIOはユーザーサポート業務だけに限らず、今後マーケティングの活動にも流用できる可能性があると思い、採用に至りました。
岡田:
2014年頃からチャットによるユーザーサポートの効率化を考えておりましたが、ユーザー側の使いやすさ、会話シナリオの作り方など機能面の課題を感じていました。その点SYNALIOの機能は秀逸だと思います。会話シナリオをツリー形状で視覚的に操作できる点などがユニークです。
最終的に導入の決め手となったのは未来性です。類似の製品がどんどん出てくる中で、SYNALIOには今後の構想があると感じました。離脱を防止して終わるだけではなく、最終的にカスタマーサポートがどういう形でありたいかということに合わせてツールが進化していく…という点に他社にはない魅力を感じました。
“現在のSYNALIOの利用方法について教えてください”
服部:
今はIDの管理サイト上に14箇所ほど設置しています。ログイン画面、お問い合わせ画面、ID・パスワードの再設定画面など、お客様が困りそうなポイントに焦点を合わせて設置しています。
当初はQ&Aで閲覧の多い3項目をピックアップしてチャットボットを設置しましたが、お客様からのコメントを見た時に当初想定していなかった別のお問い合わせが多いことがわかり、4つ目の項目を追加しました。作っている側からは見えにくいお客様の意見を知ることができたのは一つの発見だったと思っています。
“会話シナリオはどのように作られていますか?”
服部:
今は私が一人で作っています。もともと現場でお客様の対応をしていたこともあり、お客様のお問い合わせを見続けていたので、どのような点で困るのかということが感覚的にわかっていました。その経験と数字が頭に入っていたので、一気に作ってしまいました。
会話シナリオを作るのは本当に簡単です。辞書機能が秀逸でかなり使いやすいと思います。目的を絞ってしまえば、ちょっとした会話はすぐに作れます。
岡田:
立ち上げにあたり、第一弾は服部が主に担当している会員IDのサポート部門で作成しました。どのゲームで遊んでいただく場合にも必要となるユーザーIDを扱う窓口であることと、お問い合わせ件数が最も多い部門だったためです。
個々の対応履歴の仕分けもできており、数が多いお問い合わせが整理できていましたし、返信内容が定型化しやすかったため、始めやすいのではないかという考えもありましたね。
服部:
ゲームのFAQとなるともっと複雑になりますが、新しい仕様や機能についてなど、そのときに多いお問い合わせの傾向はあると思います。お客様の聞きたいことに対して解があると「セガはわかってくれている」という満足につながると思いますので、それを目指していきたいです。
“SYNALIOの導入によりどのような変化がありましたか?”
服部:
現状では工数の削減を目的としていないため、対応時間が減ったかどうかは測定していません。お問い合わせは減っているかもしれませんが、今の時点ではまず離脱していたお客様に解決してもらう、できなければお問い合わせをしてもらうということが目的なので、逆に件数は増えているかもしれません。今のところは、チャットボット経由で問い合わせが増えることはプラスと考えています。
“SYNALIOの活用におけるKPIはありますか?”
服部:
「解決した」というコメントから解決の割合を測定しています。実際には解決してもそのままチャットを閉じてしまうだけの人が多い中、今見えている割合がチャットでの解決率として高いのか低いのか、一般論を交えつつ検証したいと考えています。まずはサポート窓口へのお問い合わせに至った件数と解決率を見て効果を測定し、最終的にはサービスがどれくらい使われたかにつながるデータを出していきたいと思っています。
“今後のSYNALIOの活用方法について教えてください”
岡田:
まだゲーム業界において、チャットボットを上手に使えているなと感じる所がありません。弊社でもロールモデル作りのフェーズなので、この後どのように展開していくかを色々な方向から模索しています。会員IDサポートへの導入が上手くいったので、次はアミューズメントやコンシューマーゲームへの展開を考えていますが、まだまだ練りこみが必要だと考えています。
もう一つの方向性としては、ユーザーサポートでの成功例を基に、社内サポートへの転用も考えています。私たちIT本部は社内に提供している業務ツールのサポートも行っているのですが、お問い合わせの前にまずチャットボットを置いて対応することもできるだろうと考えており、何ができるかを模索しているところです。
また、広報部との協議の中では、例えば「セガ大好き」というメッセージを送ってくれたユーザー対して何かマニアックなコメントを返すといったような使い方をして、一問一答のコミュニケーションが何往復するかといったデータを取得しながら、会話が嬉しい世界を創っていけるのではないかという話をしました。ブランディングでも利活用できるのではないかと思うのです。
“御社の目指すカスタマーサクセスについて教えてください”
お客様に長く遊んでいただくために我々が何をしていかなければならないかということを考えています。興味を持ってくれたお客様に完全にストレスなく登録してもらうこと、そして問題が起きた時に「今何が起こっているか」を瞬時にご説明すること、それがお客様相談課のミッションだと思います。
またお客様が求めているのはIDの先にあるゲームなので、ゲームのファンとして来てくれたお客様にSYNALIOがすべきことは問題解決じゃなくて情報提供なんじゃないか…など、「もっと好きに、ずっと遊んでいただく」ためのコンテンツは何なのかということを常に考えています。